メジャーと契約したグリーンデイは早速、次のアルバムの製作に着手した。そして出来あがったのが「dookie」、あのモンスターアルバムだ。そしてこの
アルバムは全米の、いや世界中のミュージックシーンに直撃した。シングルカットされた「Longview」はMTVでのヘビーローテーションされ、じわじ
わとチャートの上位に食い込んで行った。そしてシングルカット第2段となる「Basket
Case」は更なる大ヒットとなり、その余波はここ日本にまで到達したのである。
結果、アルバム「dookie」は世界中で大ヒットとなり最終的には1500万枚程度を売り上げた。また、グリーンデイはWoodstock94にも出演して泥んこライブを繰り広げ、さらにファン層を拡大して行ったのである。
この年には、オフスプリングの「SMASH」も大ヒットとなり、それまでのパンクはアンダーグラウンドなものという既成概念を打ち砕いた。しかし、これに
対して異議を唱えたのは他ならぬパンクコミューンであった。ベイエリアでもっともポピュラーなパンク雑誌Maximam
Rock'n'Roll誌は「売り出すべからず。売り出すコトとは、正しいパンク道において、メジャー・レーベルと契約するコトであり、たくさん金を稼ぐ
コトであり、臭くてボロボロの服を着る権利をずっと手放そうとせずにMTVとラブラブになることである」とグリーンデイらを非難した。これに対しグリーン
デイは「僕らは別に売れたくて、金が欲しくてメジャーレーベルと契約したわけじゃない。ただ少しのプロモーション活動の助けと、少しの余計な製作のための
費用が欲しかっただけ」「自分達が持てる可能性をとことん追求したかっただけ」と話している。
上のグリーンデイ側の反論にはしっかりとした裏づけがある。事実グリーンデイは"dookie"のレコーディングに3000ドル程度の予算しかかけていな
い。また彼らの過去のアルバムの原盤権はルックアウトに残すことをリプリーズと交渉し、譲歩を勝ち取ったため、それによって生まれた資金がアンダーグラウ
ンドで活動するバンドの助けをしたと言う事は紛れもない事実である。また彼らのツアーのフロントアクトはルックアウトのPANSY
DIVISIONやSmiamなどがつとめている。もし、彼らが望めばもっと大物のバンドを連れて行く事は容易だっただろうにだ。このこともグリーンデイ
がそこら辺の商業主義におぼれたロックバンドとは一線を画している事の証明にもなるであろう。
しかしグリーンデイに罪があるとすれば、この大ブレイクによって資本家たちにパンクは商売になると気付かせてしまい、メジャーによるパンクバンド獲得競争
が激化してしまった事と、まわりのふざけた商業誌によってメロコアなどと言う単語まで発生し、多くのニセモノを作るきっかけとなってしまったことであろ
う。
またグリーンデイは翌年のグラミー賞4部門にノミネー
トされ、新人賞やベスト・オルタナティブ賞にをもかっさらうことになる。ただこのオルタナティブという単語に対してはビリーが一言、苦言を呈している。
「オルタナティブって言うけど、何に対してオルタナティブ(代替案)なの??」。ちなみにビリーは自分自身の音楽について次のように言っていたりもする。
「僕達がやっているのはロックンロールさ、パンクバンドって言ってもイイよ」、補足するとビリーにとってパンクとは「もっともベーシックでピュアなロック
ンロールであり、自分に限りなく素直になること」だそうだ。
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